大判例

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東京高等裁判所 昭和52年(行ケ)86号 判決

一 原告の請求原因及び主張の一、二は当事者間に争いがない。

そこで審決に、これを取消すべき事由があるかどうかについて考察する。

二 成立について争いのない甲第二号証(本件意匠公報)によれば、本件意匠の要旨は、審決認定のとおり、最下方の左右両端にそれぞれ水平脚部を平行に配して、その上部中央に垂直状の脚柱を直角に取付け、その上方にほぼ逆三角形状の受梁を取付け、該受梁の前後端はやや内側に向つて弧状に湾曲せしめ、その上方に側方からみてほぼL字形を呈し正面からみてほぼ縦長方形状を呈する枠体を取付けたもので、該枠体の水平部分の上方には、四角に丸味を設けたほぼ正方形状の平坦な座板を取付け、その前後端(審決は前端とだけいつているが、前後端の誤記と認められる。)はやや下向きに屈曲せしめ、その後方の垂直部はやや後方に屈折せしめて、その前方上方部には、左右両側の上端に丸味を設けた横長方形状の背板を取付けて、その上端は後方に向け屈曲せしめてなるものであることが認められる。

一方、成立について争いのない甲第三号証(引用意匠公報)によれば、引用意匠の要旨は、審決認定のとおり、最下方の左右両端にそれぞれ水平脚部を平行に配して、その上部のほぼ中央に垂直状の脚柱を直角に取付け、その上方にはほぼ逆三角形状の受梁を取付け、該受梁の前後端の上方部は、やや内側に向つて弧状に湾曲せしめ、その上方に、側方からみてほぼL字形を呈し正面からみてほぼ縦長方形状を呈する枠体を取付けたもので、該枠体の水平部分の上方には、前端の両側に丸味を設け後端は弧状に湾曲したほぼ正方形状の平坦な座板を取付け、その後方の垂直部はやや後方に屈折せしめて、その前方上方部には、左右両側の上端に丸味を設けた横長方形状の背板を取付けてなるものであると認められる。

しかして、両意匠とも、最下方の左右両端に水平脚部を配し、そのほぼ上部中央に垂直脚部を取付け、その上方にほぼ逆三角形状を呈する受梁を取付けた形状が最も看者の注意をひくものと認められるから、右部分に両意匠の要部があるものというべきところ、両意匠とも水平脚部の長さに対する脚柱及び受梁の長さの比がほぼ一対一、一前後となつてはいるけれども、本件意匠は、側面からみた場合、脚柱と受梁の長さの比がほぼ一対一、二であつて脚柱の相当部分を側面から看取することができるが、引用意匠においては、その比がほぼ一対一八であつて、脚柱のほとんどは受梁によつて覆われて直接看者の目につくことがなく、看者の目につくのは、前認定の形状をした、脚柱よりも幅広の受梁部分であるから、本件意匠は、引用意匠に比べて座高が高く見え、不安定感を抱かせはするが、一方、スマートな感じを抱かせるのに対して、引用意匠は全体としてずんぐりして安定した感じを抱かせるものと認められるところであつて、両意匠において共に要部であると認められる水平脚部、脚柱及び受梁の構成する形状に右のような相違が認められる以上、他の細部の異同にかかわらず、両意匠は互いに類似しないものというべきである。

三 被告は、本件意匠、引用意匠とも脚部分の螺子調節により、上下に脚部分が伸縮して動くところ、本件意匠はその左側図面からすれば脚柱を最上段に伸した状態で作図されたものであるから、引用意匠の方が本件意匠に比べて座高が著しく低いということはできないと主張するが、両意匠とも、脚部分が螺子調節により上下に伸縮して動く旨の説明記載は各願書にはなく、図面の記載からもそのようには認められないから、被告の右主張は理由がない。

四 以上のとおりであつて、本件意匠を引用意匠に類似するとして本件意匠登録を無効とした本件審決は違法であつて取消しを免れない。

〔編註〕 本件に関する目録は左のとおりである。

別紙目録一 本件意匠

<省略>

別紙目録二 引用意匠

<省略>

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